会社設立の流れと必要な準備、手続きを解説

起業を行う人が増えてきた昨今、会社設立に関する多くの情報がネット上に溢れています。「会社設立なんて簡単!自分で手続きをしよう」と必要な書式を無料でダウンロードできるサイトもあれば、「自分一人での設立は無謀!必ず専門家に相談しましょう」と訴えているサイトもあります。実際のところ、どうなのでしょうか?

会社設立までの流れ

会社を作ろう!と考えたとき、何やら複雑な手続きを行わないと作れないので面倒そう、と誰もが想像するかと思いますが、実際のところそれほど難しいことではありません。
事前に準備すべき書類や資金、手続きに必要なものを調べれば、誰でも行うことが可能です。

1.基本情報の決定

会社の基本情報として、以下の6項目は必ず決定しなければなりません。

①会社形態
まずは会社の形態を決める必要があります。
会社の形態には大きく2つの種類があります。
株式会社と持株会社(合同会社、合名会社、合資会社)です。
それぞれ出資者とその役割や責任範囲などが異なりますが、これから会社設立するなら株式会社か合同会社がおすすめです。
②商号
いわゆる会社名を決めます。
会社名は業務内容がイメージできるものや響きのよいものなど、似たような名前がなければ何でも構いません。設立後に変更することも可能です。
③事業目的
事業目的を決めましょう。
定款に記載する項目でもあるので、明確かつ簡潔に纏めることが望ましいです。
定款上の事業目的には上限がないので、将来的にやりたいことも含めて記載しても構いませんが、設立直後の会社に多くの事業目的が記載されていると、何をやる会社なのかが不明確になり、信用度に影響する恐れがあります。
設立直後は10項目以下を目安するとよいでしょう。
④本店所在地
会社の住所を決めます。
自宅やマンションの一室を事務所として登記する方法や、レンタルオフィス・シェアオフィスを契約して会社の本店所在地とする方法もあります。
⑤資本金
資本金は「会社の体力」とも言われますが、現在の会社法では資本金に下限がないため、法律上は1円から設立が可能です。しかし、資本金が極端に少ないと事務所を借りる際の契約料や、備品を購入するための資金が足りず、すぐに運営が立ち行かなくなる可能性が高いです。また、小額すぎることで社会的信用度が低く、「取引先としてふさわしくない」と判断されるケースも考えられます。
資本金は最低でも初期費用+運転資金×3ヶ月分程度は確保しましょう。
⑥決算月
会社設立をいつにするかによって理想的な決算月は変わります。一般的には会社設立から12ヶ月後を決算月にすることが良いとされています。大きく理由は2つ挙げられ、1つは手間の問題、もう1つは消費税の問題となります。
決算を迎えると2ヶ月後には税務申告が必要となり、その税務申告の際には過去1年間の収支チェックなどを行う必要があり、少なからず手間が掛かります。
会社設立後すぐにその手間を掛けるのではなく、1年後に先延ばしにできるため、12か月後が理想とされています。
消費税に関するこれ以上の詳明は割愛しますが、設立から12ヶ月後を決算月にすることで消費税の支払いタイミングも多少先延ばしにできます。
ちなみに「3月決算」という言葉をよく聞きますが、必ずしも決算月は3月というわけではありません。何月決算でも登記は可能ですのでご安心ください。

2.定款の作成

①定款の作成
定款のテンプレートは法務局のホームページから入手可能です。記載例もありますので、ぜひ参考にしてください。なお、定款は会社規模や取締役人数、取締役会の有無によっても記載事項が異なるので注意が必要です。
②定款の認証
認証手続きは予約制となっておりますので、本店所在地と同一の都道府県にある公証役場に連絡をして訪問日時を予約します。
訪問前にFAXや郵送で定款を送付しておくと、手続き前に内容を確認してもらえます。
当日の認証をスムーズに行うためにも事前に内容を確認してもらいましょう。
但し、定款の認証が必要な会社形態は「株式会社」で、持分会社である合同会社は認証手続きが不要となります。認証に必要なものは以下の通りです。

  • 定款(印刷したものを3部)
  • 発起人全員の印鑑証明書(原本を各1枚 3ヶ月以内発行分」)
  • 収入印紙:4万円分
  • 身分証明書(運転免許証など)
  • 発起人の実印(発起人以外の場合は認印でも可)
  • 認証手数料:30,000〜50,000円(資本金額次第)
  • 謄本代:250円×定款の枚数(現金)

3.資本金の払込み

資本金の払込みは、定款の認証が確定した日以降に行います。
この時点では法人口座が開設できないため、振込先は発起人の個人口座となります。
この後の登記申請の際に必要となる資本金の払込みをしたことを証明する書類として、以下のページをコピーしておきましょう。

  • 通帳の表紙
  • 通帳の1ページ目
  • 資本金の振込内容が記載されているページ

4.登記書類の作成と申請

会社設立に必要な書類は会社形態によっても変わりますが、概ね以下のものとなります。

  • 登記申請書
  • 登録免許税分の収入印紙を貼り付けた納付用台紙
  • 定款
  • 発起人の決定書
  • 設立時取締役の就任承諾書
  • 設立時代表取締役の就任承諾書
  • 設立時取締役の印鑑証明書
  • 資本金の払込みがあったことを証する書面
  • 印鑑届書
  • 「登記すべき事項」を記載した書面又は保存したCD-R
  • 選定書
  • 人確認証明書
  • 出資の払込みを証する証明書
  • 資本金の額の計上に関する証明書

印鑑届書には法人印と個人印のそれぞれを押印する箇所があるので、どちらも忘れないように注意しましょう。定款の作成、認証までは発起人の実印だけで大丈夫でしたが、登記以降は法人の実印も必要です。登記に必要な準備として会社の印鑑も作成しておきましょう。
登記は申請後、不備がなければ10日ほどで完了します。不備がある場合は連絡がありますが、正常に完了した場合、連絡はありません。
会社設立日は登記申請日です。土日祝は登記申請できませんので、希望日がある場合には事前に確認しましょう。

会社設立後~事業を開始するまでの流れ

登記まで完了したら、会社設立は終了です。ただ、事業開始前に必要な手続きは、まだ残っております。ここでは登記後に必要な手続きの流れを紹介します。期限が指定されているものもあるため、登記完了後、速やかに取り掛かりましょう。

1.法人設立届出書の提出

法人になったら、企業として国に納めなくてはいけない法人税が発生します。法人税の納付手続きは本店所在地がある地域の管轄税務署で行います。
管轄税務署は国税庁のサイトから調べられます。
提出が必要な書類は、青色申告にするか、従業員を雇用しているかなど状況によって変わりますが、代表的なものは以下の通りです。

  • 法人設立届出書
  • 青色申告の承認申請書
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書

2.法人住民税・法人事業税の届出

まずは法人住民税・法人事業税を納付するために本店所在地となる都道府県税事務所と市町村役場に法人設立届出書の提出が必要となります。提出書類は地方自治体によって異なりますので、本店所在地を管轄している地方自治体のホームページなどを確認してください。

3.健康保険・雇用年金の加入手続き

社会保険の加入について年金事務所に届け出をする必要があります。原則、一人の会社でも加入しなければなりません。また、会社設立からの提出期限が短いので注意しましょう。

4.労働法に関する届出を行う

会社を設立後すぐに従業員を雇った場合には、労働保険(労災保険・雇用保険)の加入手続きも必要となります。本店所在地の管轄労働基準監督署で手続きを行います。

5.雇用保険に関する届出を行う

前ステップの労働基準監督署での手続きが完了したら、管轄のハローワーク(公共職業安定所)で雇用保険について手続きを行います。管轄のハローワークをお調べになりたい方は、厚生労働省「都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧」 で確認できます。

6.法人口座を開設する

法人口座とは、金融機関の口座名義が会社名になっているものをいいます。
法人口座の開設は任意であり、事業取引を個人名義の口座で行っても法的に問題はありません。法人口座の開設は審査が厳しいため、保有していると社会的信用も高く、融資の申請においても有利とされています。会計処理や税務処理を正しく行うためにも法人口座の開設をオススメします。

会社の設立に必要な法定費用

会社設立時に法務局や公証役場をはじめとした各役所に必ず支払う費用のことを法定費用といいます。これは会社形態によって変動します。

表:株式会社と合同会社にかかる法定費用の比較
項目 株式会社 合同会社 備考
定款用収入印紙代 株式会社40,000円 合同会社40,000円 備考電子定款は0円
定款の謄本手数料 株式会社約2,000円 合同会社0円 備考250円/ページ
定款の認証料 合同会社0円 備考紙・電子定款いずれも同額
定款の認証料
資本金100万円未満
株式会社30,000円 合同会社0円 備考紙・電子定款いずれも同額
定款の認証料
資本金100万円以上300万円未満
株式会社40,000円 合同会社0円 備考紙・電子定款いずれも同額
定款の認証料
資本金300万円以上
株式会社50,000円 合同会社0円 備考紙・電子定款いずれも同額
登録免許税 株式会社資本金×0.7%
または
150,000円
の高い方
合同会社資本金×0.7%
または
60,000円
の高い方

※参考 会社の定款手数料の改定
株式会社の設立手続(発起設立)について
合同会社の設立手続について

会社を設立するにあたって知っておきたいこと

個人事業主か会社を設立するべきか

起業時、個人事業主でいくのか、会社を設立するのかは非常に悩ましい選択です。
個人事業主のメリットは比較的簡単に起業できることですが、会社を設立すると個人事業主にはないメリットが複数あります。
以下、会社を設立する代表的なメリットを3点紹介します。

1.社会的信用が得られる
社会的な信用は、開業後すぐに事業を成長させたいと思っている方にとっては大きな利点といえます。商談相手からの信頼が得られますし、法人としか契約を結ばない企業もあるようです。
また、融資や助成金・補助金を受ける際も法人である方が有利といえます。
2.保険に加入できる
法人の場合、社会保険への加入義務があります。
「社会保険は、保険料が高くてメリットにはならないのでは?」と思いがちですが、その分保証が手厚い制度です。
例えば健康保険は、国民健康保険と違い、傷病手当や出産手当制度があります。また、扶養制度もあるため家族全員が被保険者として加入する必要がないので、世帯での保険料が抑えられます。厚生年金に加入することになり、将来の年金額も多くなります。
3.節税しやすい
個人事業主より法人の方が、経費として計上できる範囲が広いことは有名でしょう。
自分自身の給料や自分に対しての日当なども経費計上可能となります。また、所得税より法人税の方が税率の傾斜が緩やかなので、利益が大きく出た場合には、法人の方が支払う税額が少なくてすみます。

株式会社と合同会社の違い

1.株式会社
株式を発行して資金を集める「会社」の代表的な形態となります。
株式会社の特徴は出資者と経営者が異なることです。出資者は株主と呼ばれ、会社を所有するオーナーです。株主は「株主総会」を開き、選出した経営者が事業を運営します。
出資者の責任範囲は有限で、出資した範囲に限りビジネスに対する責任を負うため、外部から投資されやすいのも特徴です。
株式会社は株主や債権者に対し、会社の経営状況や財務状況を明らかにするための「決算公告」が義務づけられています。
2.合同会社
2006年の新会社法により、新しく設けられた会社形態となります。
出資者は社員と呼ばれ、出資者=経営者となり、全社員に会社の決定権があります。
定款による組織の設計や利益配分なども自由に規定でき、株主総会なども行わなくて良いため、意思決定スピードや経営の自由度が高いのが特徴です。
出資者の責任範囲は株式会社と同様に有限責任となります。
表:株式会社と合同会社の比較
項目 株式会社 合同会社
会社の種類 株式会社株式 合同会社持分
資本金 株式会社資本金1円以上 合同会社資本金1円以上
出資者(呼称) 株式会社1名以上(株主) 合同会社1名以上(社員)
責任の範囲 株式会社有限責任 合同会社有限責任
最高意思決定機関 株式会社株主総会 合同会社社員の過半数
決算公告義務 株式会社 合同会社
登記書類 株式会社定款 合同会社定款
上場 株式会社できる 合同会社できない
役員の任期 株式会社規定あり 合同会社無期限

融資・補助金・助成金の違い

「融資」と「補助金・助成金」の一番大きな違いは「前払い」か「後払い」かという点です。
融資は前払い、補助金と助成金は原則、後払いとなります。

1.融資
会社設立後の初期コストがほとんど掛からず、自己資金だけで開業できる人もいれば、初期から多額の投資が必要なため金融機関からの融資を受けることを考えている人もいるでしょう。ちなみに融資とは借入のことで、つまり借金です。
自己資金だけで独立開業するケースが多いのは、コンサルティング業や営業代行など、自身のスキルを活用する人などです。WEBデザイナーやITエンジニアなども比較的、初期コストを抑えることができる業種といえましょう。
逆に初期に多額の投資が必要な業種は飲食業や卸売業などです。飲食業では内装に数百万円~数千万円の費用が掛かることも多く、卸売業では在庫として数百万円~数千万円の仕入が必要になることも多いようです。
2.補助金・助成金
多額な費用が必要な業種の資金調達方法は「融資」しかないのでしょうか?
名前くらいは聞いたことがある人も多いと思いますが、「補助金」や「助成金」というものもあります。
補助金とは経済産業省・地方自治体が経済発展や地域活性化を目的として事業者の資金協力をする制度のことで、助成金とは厚生労働省・地方自治体が雇用促進や労働環境の改善を目的に事業者に資金協力をする制度となります。
なお、補助金は条件を満たしても100%資金協力を得られるとは限りませんが、助成金は条件を満たせばほぼ100%資金協力を得ることができるといった違いもあります。

消費税を払う時期

「事業を始めても2年間は消費税を払う必要がない」と聞いたことはないでしょうか。
これは半分正解で半分間違いです。設立してから3年目に消費税を支払う必要があるのは、初年度から1,000万円超の売上があった事業者で、1,000万円に満たない売上しかない場合、支払い不要となります。

※2022年10月時点情報。詳細は税理士にご相談ください。

会社設立当初の労働環境は
とても重要

会社設立時の本店所在地はなるべく実務を行っている場所を選択することが望ましいです。
金融機関の審査など、経営者自身が本当に実在し活動しているかを示す必要があるためにも、実際に事業を行っている場所を本店として構えるとよいでしょう。

ビジネスエアポートでは、登記利用可能な「サービスオフィス会員」「アドレス会員」プランがございますので、起業場所としてぜひご検討ください。

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法務局以外でも会社の登記が可能

これまで、登記申請は法務局へ行くことを前提に記述して参りましたが、実際には法務局まで足を運ぶ必要の無い方法も、以下の通り、ありますので検討してみてください。

1.郵送で申請
1つ目は郵送で申請する方法です。法務局に必要書類やデータを郵送します。
郵送する際は、封筒に「登記申請書在中」と記載しておくようにしましょう。大切な書類ですので、法務局にきちんと届いたか確認ができるよう、簡易書留やと特定記録郵便で郵送すると安心です。
郵送申請の場合でも申請から1週間~10日で会社登記が完了します。会社登記日は、郵便物が法務局に到着した日となります。会社設立日に拘る方は配達日指定で郵送すると、希望する会社設立日が実現可能です。
2.オンラインで申請
2つ目は、オンラインで申請する方法です。
法務局の登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと  供託ねっと」を使用して申請します。専用ソフト「申請用総合ソフト」のダウンロードと申請者の電子証明書が必要にはなりますが、全てオンラインで手続きが完結するので、窓口まで足を運ぶ時間がない方には最適です。

登記場所を選ぶならビジネスエアポート

昨今、個人での起業が増えており、日常的に活動を行っているワークスペースを本店所在地として会社設立する傾向が更に高まることが予想されます。
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